大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(う)753号 判決

被告人 伊藤豊

〔抄 録〕

所論は本件の場所は、原判示の昭和三十六年三月二十五日当時においては、道路交通法第二条第一号にいわゆる道路ではなかつた、すなわち右の場所は道路法に規定する道路又は道路運送法に規定する自動車道でないことは勿論「一般交通の用に供するその他の場所」でもなかつた。然るに原判決が本件場所を道路交通法にいう道路に該当するものと判断して、被告人の所為に対し同法を適用処断したことは事実の誤認に基く法令の解釈適用を誤つた違法があると主張する。按ずるに道路交通法は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的とするものであることは論を俟たない(同法第一条)。しかして道路交通法において道路とは、道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二六年法律第一八三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう、と定めているところ、右の一般交通の用に供するその他の場所とは、前記道路法に規定する道路、道路運送法に規定する自動車道以外の場所であつて、現に不特定多数の人、車輛等の交通の用に供されている場所を指称し、その場所は必ずしも道路としての形態を完備していることを要しないし、また、無条件に一般公衆に解放し、不特定の一般多数人が無制限に通行する場所のみに限定するものではないものと解する。原判決挙示の証拠によれば、本件場所は千葉県市原郡市原町海岸埋立地で、当時前記道路法に規定する道路、道路運送法に規定する自動車道でなかつたことは所論の如く明らかであるが、右埋立地内は一望平地とはいえ人、車輛が何処でも自由に通行できるという状態ではなく、右場所は国道に連絡する道路を設置すべく、土を盛つて道路敷を作り(その幅員約九メートル)その道路敷内には砂利、砕石を敷き(もつとも均らしていないので表面は凸凹の多い状態であつた)、不完全ながら側溝(その幅員約〇、五メートル)をも作り、未完成ではあつたが道路の形態をなした場所であつて、人、車輛、特に車輛はその道路敷内のみを通行し得かつ現に通行していたこと、右場所は、将来は古河電気工業株式会社の工場建設用地に予定されていた場所であるが、当時何らその標識もなく、且つ所有者或いは管理者から人車の通行を制限ないし禁止されていたという事実のなかつたこと、右の場所は当時前記の如く埋立地内にあつたので、右の場所に所用のない一般公衆は日常通行していなかつたとしても、その附近の工場建設関係者、建設資材の運搬、その他附近に所用のある不特定多数人車輛(トラツク、ハイヤー等)は現にその通行の用に供していたことが認められる。してみれば原判決認定の場所は、当時一般交通の用に供せられていた場所ということができるから、道路交通法第二条第一項にいう道路中一般交通の用に供するその他の場所に該当するものと認めるのが相当である。

(三宅 東 井波)

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